【書評】群ようこ『パントスープとネコ日和』
こんにちは。asakunoです。
今回の書評は、群ようこの『パンとスープとネコ日和』。
(シリーズになっていて現在も続編が出ているようですね。)
群ようこの本を読むの、実ははじめてでした。
私はあまり存命の作家の本は読まないのですが(偏りw)、本作はAmazonプライムでドラマを見て、それが面白かったので原作を読みたくなった、というのが発端です。
小林聡子さん主演でドラマ化されたこの作品、とても評価が高いようです。
私も、ドラマのシンプルで丁寧な暮らしや、淡々と生きる主人公や、心温かい周囲の人間に惹かれ、最終話まで一気に見てしまいました。おすすめです。
さて本題の原作を読んだ感想。一言で表すと、
小説とドラマは全くの別物。
描こうとする人間像も世界観も異なる気がします。
ドラマを見たときに、「あまりにも完成しすぎた世界だな」と感じたのですが、やはりテレビメディア化すると、万人受けしやすいように美化・脚色、再構成も大幅に加わるのでしょうね。
小説の文体は平易で、とても読みやすいです。ファンが多いのもうなずけます。
一方で、かなりドライな印象もあります。小説を読んでいて、温度・湿度・季節感を感じることはほとんどありませんでした。終始一貫して淡々とした描写が続きます。
ですが、それゆえに、同じトーンで人間の醜い部分も描写されるため、かえっておぞましさが増幅されるように感じられるシーンもあります。
筆者の冷徹な人間観察、他者に対するある種のあきらめ感。
世の中には嫌な奴も多いけれど、時々救われることもあって、
そんな毎日を繰り返しながら、人間は生きている。
そんなメッセージを勝手に読み取りました。
そういうわけで、ドラマの世界観が好きな方は、あまり原作は読まない方がよいかも。
ただ軽妙な文体は、世界観の重たさを読者に押し付けてこないので、読後に気分が落ち込むこともありません。
ひとつの物語としては、消化しやすいと思います。
うーーん。。。
個人的にあまり好みではないので、あまり良いレビューが書けませんでした。
あと何作品か読んでみないと、群ようこを理解することもできませんね。
また機会があったら、別の作品を読んでみようかなと思います。
ではでは今回はこの辺で。