当世無職気質ー僻地ニート日誌ー

うつ病休職から退職、転職し、ヘロヘロになりながらもなんとか生きてるミドサーOL

【読書】岡本かの子 「鶴は病みき」(青空文庫)

こんばんは。asakunoです。

今回は最近読んだ本を紹介します。

 

少し前に紹介した『仏教人生読本』と同じ著者、岡本かの子の著作です。

asakuno.hatenablog.com

 ★★以下、ネタバレも含みます★★

 

 岡本かの子の文壇デビュー作で、1936(昭和11)年に発表(文學界)されました。

(推薦したのが川端康成だったそうです。)

 

鶴は病みき

鶴は病みき

 

晩年の芥川龍之介が「麻川荘之助」という男性として描かれています。

その他、川端康成谷崎潤一郎、おそらくは葉山三千子と思われる人物も名前を変えて登場します。(私もまだ想像の域を出ない部分もあります。)

 

***

場面は、鎌倉の別荘。

廊下続きの隣の一棟に麻川も逗留していることを知った主人公(葉子)。

麻川の元にはひっきりなしに来客。信者も多い。

葉子はそんな中、来客には見せない麻川の日常姿を観察。

また、対"客"ではない、麻川との会話。滲み出る麻川の人間味。

 

それから5年後の初春、偶然の再会。

病魔に冒され変わり果てた麻川の姿。

再訪を期すも、 その夏に麻川は自害。

 ***

 

当時の文人たちの交流や逗留の様子を垣間見ることができて、

読んでいてワクワクしてしまいますよね。

本作は、その後に書かれた「老妓抄」や「金魚繚乱」などに比べると、かなり淡白な描写であるような印象を受けます。

これをかわぎりに、かの子は短期間のうちにどんどん技法を成熟させていったんですね。

 

非常に個人的な感想になりますが、作品そのものよりも、かの子の視点でみた当時の文壇を記録した、ある種の史料的価値を感じてしまいます。

もう少し、人間関係について勉強して、作品をしっかり味わえるようになりたいですね。

 

理解を助ける参考文献としては、下記のようなものがあるようです。

こちらも近々に読んでみたいですね。

川端康成「「鶴は病みき」の作者」〈新潮社版『川端康成全集29』に所収〉

亀井勝一郎講談社版『亀井勝一郎全集補巻1』に所収〉

 

 

 <補足>

↓「鶴は病みき」は収録されていませんが、

それ以外の主な代表作がまとめられています。ご参考まで。

岡本かの子 (ちくま日本文学)

岡本かの子 (ちくま日本文学)